看護師のスキルアップ資格「感染症看護専門看護師」
看護師の上級資格である専門看護師は11分野あります。その中でも2006年に新たに看護分野に指定されたものとして、感染症看護専門看護師があります。
感染症が院内で流行した場合、患者の中には重症化してしまう恐れがあります。そこで感染症が大流行しないために、医療スタッフと協力して感染症の抑え込みを行います。
また感染症がそもそも起こらないような対策をすることも大事です。感染症の危険性を患者並びに医療スタッフに周知して、感染症を持ち込まないようにするためにはどのような対策を講じるべきかの啓もう活動することも重要な役割です。
感染症看護専門看護師の資格を持っている人は、2015年9月現在日本全国でも32名しかいません。ほとんどの人が病院勤務しています。
感染症看護専門看護師の合格率は80%程度あります。ただし後で詳しくみますが審査にあたって筆記試験以外にも書類審査があり、両方合格しないと資格取得できません。筆記試験対策だけを行っているだけでは不十分です。
感染症看護専門看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が認定しています。専門看護分野に指定されてからまだ日は浅いですが、医療機関を中心に高い需要があります。
認定審査を受けるには
感染症看護専門看護師の認定審査があります。認定審査は誰でも受けられるわけではなく、以下の3つの条件を満たす必要があります。
・日本の看護師免許を持っている
・通算で5年以上の実務経験・うち3年以上の専門看護分野における実務経験を有している
・看護系大学院の修士課程を修了し、日本看護系大学協議会の定める専門看護師教育課程の26もしくは38単位を取得している
認定審査では書類審査と筆記試験の2段階で考査されます。両方を一定の基準以上の点数を獲得すれば、専門看護師の認定証が交付されます。
その上で日本看護協会で登録手続きをすると、感染症看護専門看護師となれます。登録者は日本看護協会のホームページで掲載されていますが、名前などを非公開にすることは可能です。
ちなみに5年ごとに更新手続きをする必要があります。更新する際には、書類審査をクリアしなければならず、一定のレベルのスキルや知識を維持する必要があります。
ボーダーレスが進む世界で
感染症は今後ますます重視される分野になります。その理由として、ボーダーレスが進んでいることが関係しています。今では世界のどこへでも飛行機などを使って簡単に行き来できます。
このため、遠いところで流行している感染症のウイルスがいつ日本に持ち込まれるかわかりません。エボラ出血熱の話題も記憶に新しいでしょう。
感染症は水際対策をすること、そして感染症が発生した場合、いかにほかの人への感染を防ぐかが重要な問題です。特に病院の場合、抵抗力の弱った入院患者もたくさんいます。
ひとたび院内感染をしてしまうと重篤化する患者も続出する恐れがあります。このため、感染症ケアのエキスパートである感染症看護専門看護師がいると医療機関にとっても大変心強いわけです。
感染症看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
感染症看護専門看護師の資格を使って仕事をしている人を見てみると、総合病院や大学病院のような、多くの入院患者を収容している大規模病院であるケースが多いです。
この場合、特定の診療科目に所属することはまれです。院内に特別チームが作られるとこちらに所属するとか、病院全体で感染症が発生した場合に、一手に引き受けるケースが多いみたいです。
また感染症外来といった専門の診療科目を用意している病院もあります。このような病院で外来担当の看護師として仕事をしているケースもあります。
感染症看護専門看護師になると感染症の原因となるウイルスの専門的な知識の他にも、症状を緩和する方法、二次感染などを防ぐ対処策、さまざまな分野の知識を持っています。
このため、感染症が発生した場合、感染症看護専門看護師が一種の司令塔的な役割を果たします。その意味ではリーダーシップの能力も求められますね。