看護師のスキルアップ資格「地域看護専門看護師」
地域看護専門看護師は文字通り、それぞれの地域で生活している人々のニーズに合った看護サービスの提供できる看護師のための資格です。
ニーズと言っても多方面にわたり、産業保健や学校保健、保険行政、在宅ケアなどが考えられます。患者のケアの他にも、病気予防や健康促進といった感じで医療や保健、福祉といった全般的な分野に関する知識やスキルを持っている必要があります。
地域看護専門看護師の活動を見てみると、保健師と似たところがあります。ただし活躍できる分野が若干異なります。
保健師の場合、保健所や保健センターで仕事をしている人が多いです。地域看護専門看護師の場合、地域医療に貢献している病院や保健所以外の施設で勤務していることが多いです。
地域看護専門看護師の資格保有者ですが、2015年の時点で25名います。病院で勤務している人が多いですが、福祉施設や役所、市議会で仕事をしている人も見られます。
地域看護専門看護師の審査試験を受けるにあたって、いくつかのハードルが準備されています。この条件をクリアしている人が受験するため、合格率は高いです。毎年90%以上で推移していますが、決して難易度が低いわけではありません。
地域看護専門看護師の資格取得方法・条件
地域看護専門看護師のような専門看護師は、日本看護協会が認定を実施しています。書類審査と筆記試験の2段階で考査して、認定するかどうかの判断をします。
受験するための条件
まず看護師免許を持っていることが前提で、通算で実務経験を5年以上有していることが条件です。
そのうちの3年以上は、行政地域看護や在宅ケア看護、産業看護、学校看護といった関連する分野における実務経験がないといけません。勤務先や常勤・非常勤関係なく勤務していれば、実務経験としてカウントできます。
その上で、2例の看護実践、1例の看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーション、ケアを円滑に行うための関係者間のコーディネート、看護師や保健師に対する教育活動が必要です。
このいずれの事例も実績報告書としてまとめて、書類審査を受けるときに提出する必要があります。
さらに受験資格を得るためには、看護系大学大学院修士課程もしくは関連領域の大学院修士課程において所定のカリキュラムを修了することが条件です。最終的にはそれまでの教育課程の中で取り組んだ論文などの作成が求められます。
審査試験の内容
書類審査と筆記試験によって考査が実施されます。書類審査は実績や実務経験をチェックして、審査委員の評価点数の平均が60点以上あり、合計点は420点以上必要になります。筆記試験は200点満点で140点以上獲得して、合格扱いになります。
転職の武器にもなる希少資格
先ほども紹介したように、専門看護師の中でも25名と特に資格保有者の少ない分野です。
このため、今資格取得しておくとその希少性から待遇改善や転職するときに有力な武器となるはずです。そして地域医療は今後ますます重要になってくるとみられています。
その背景として、少子高齢化があります。高齢者で自宅療養する人も増加してくるでしょうから、このような人たちに適切にケアをするために、医療や福祉、行政機関が連携する必要があります。その時専門的な知識やスキルを持った地域看護専門看護師が求められます。
都会だけでなく、地方でもその需要はどんどん高まるでしょう。特に過疎化している地域では、満足に医療サービスが提供できない可能性もあります。そこで適切に在宅看護ができるために、欠かせない人材といえます。
地域看護専門看護師に興味がある看護師さんへ
地域看護専門看護師の資格を持っている人の勤務先を見てみると、やはり病院が多いです。都心部の大病院はもちろんのこと、地方の地域中核を担っているような医療機関で活躍している人も多いです。
ただし今後は入院期間の短縮化により在宅医療が中心になるでしょうから、訪問看護やデイケアなどでもニーズが高まってくるかもしれませんよ。啓もう活動なども含まれますから、看護のスキルだけでなく、企画力のある人はその能力を活用できますね。