看護師のスキルアップ資格「医療環境管理士」
医療機関では感染症対策は必要不可欠です。病気などで抵抗力の弱くなっている人の多い病院内では、ひとたび感染症を発症した患者が現れると、一気に感染者数が増える恐れがあります。
高齢者や幼児の場合、重症化し、最悪死に至る可能性もあります。そこで世間一般よりも感染症対策はしっかり行う必要があります。
このような感染症対策の専門家の資格が、医療環境管理士です。
感染症対策のためのシステムを作るとか、必要な処置の助言を行います。また医療関係者や患者を集めて、感染症に関する啓もう活動をすることもあります。
もし感染症発症した患者が見つかった場合、他のスタッフと連携して感染拡大しないような対策を講じる役割も担います。医療環境管理士はどの病院でも求められる人材ですから、転職を視野に入れている看護師は資格取得しておいても良いでしょう。
資格取得者数は公表されていませんが、職種別でみると最も多いのは看護師です。その他には介護福祉士や臨床検査技師、医療関係の会社に勤めている人が資格取得することが多いです。合格率は毎年60%くらいで推移していますから、試験対策をきちんとしておけば資格取得できる可能性も十分あります。
医療環境管理士の資格取得方法・条件
医療福祉検定協会という一般社団法人で認定を行っています。
受験資格
医療環境管理士の試験は誰でも受験できます。年齢や学歴、実務経験のような制限も一切ありません。もし資格に興味があれば、いつでも受験できます。
試験内容
医療福祉検定協会という主催団体が発行しているテキストの中から問題が出題されます。選択式が100問、記述式が3問出題されます。選択式が100点、記述式が50点満点で行われ、そのうち7割以上の特典を獲れば合格になります。
もし合格をすると、試験から3週間以内に合格証書が郵送されます。ただしこれだけでは、資格取得にはなりません。
認定講習会がありますから講義を受けてグループワークなどに参加する必要があります。ここまでこなして初めて、医療環境管理士の資格が得られます。
感染リスクの高まりと医療環境管理士の需要
冬になるとインフルエンザやノロウィルスの話題を毎年耳にします。その他にもデング熱やエボラウィルスなどが世界で流行することもあります。
今では飛行機などを使って世界中を旅できるので、遠く離れたところで流行している感染症がいつ日本に持ち込まれるかわかりません。そこで院内感染を防止する方策が今まで以上に病院にとって、重要課題の一つになります。
このため医療環境管理士の資格を持っている看護師へのニーズがどんどん高まっています。医療環境管理士の資格を持った人がいれば、その専門知識を医療スタッフに提供できるため、よりしっかりとした水際対策ができます。
また医療環境管理士の資格を持った看護師がいれば、病院としての価値も高まります。「この病院なら安心して受診できる」となり、患者数の増加が見込まれるからです。
医療環境管理士の資格に興味がある看護師さんへ
病院では医療環境管理士の資格を持った人は求められています。特に高齢者の患者やがん患者などが多くいる病院などでは需要が高いです。いずれも抵抗力が弱いので感染症に簡単にかかってしまって、しかも重症化する可能性が高いからです。
その他には、介護関係の施設でも求人が出ています。こちらも高齢者が多くいますから、感染症を発症した入所者がいると、一気に感染が拡大するかもしれないからです。職員や入所者に対して手洗いやうがい、消毒のレクチャーをするわけです。
製薬会社でも、医療環境管理士の資格を持っている人が多いみたいです。感染対策に関する情報提供することで、薬品などの売込みに説得力を高める効果が期待できるからです。
もし将来キャリアチェンジをして、OLとして仕事をしてみたいと思っている看護師がいれば、製薬会社のMRを視野に入れて、医療環境管理士の資格を取得してみませんか?このようにキャリアプランの範囲を広げられる資格といえますね。