看護師のスキルアップ資格「手話通訳士」
聴覚障害者の方は言葉を聞くことも発することも不自由ですから、手話を介してコミュニケーションをとる必要があります。しかし手話はすべての人がマスターしているわけではありません。
手話通訳士とはこの聴覚障害を持った人とそうでない人との間に立って、コミュニケーションを成立させる人を指します。
業務独占資格ではありませんが名称独占の資格で、公的資格の一つとされています。看護師がスキルアップするために資格取得を目指すケースも多いです。
しかし、何も医療従事者でないと資格取得できないわけではありません。仕事以外でも身の回りに聴覚障害者がいれば、プライベートでも役立つ資格といえます。
手話通訳士の資格を取得するためには、国家試験に合格し、登録をしなければなりません。平成25年11月末の段階で、3084名が手話通訳士として登録しています。
手話関係の資格はいくつかありますが、その中でも難易度の高い資金です。平成24年の試験を見てみると、合格率は11.1%にとどまっています。
それ以外の年度を見てみても、30%を超えることはまずありません。ですからしっかり事前準備をして、試験に備えましょう。
手話通訳士の資格取得方法・条件
手話通訳士の認定試験は、聴力障害者情報文化センターという社会福祉法人が行っています。しかし資格の認定先は、厚生労働省になります。
受験資格
基本的にだれでも受験できます。ただし年齢制限があって、20歳以上の方が対象です。ちなみに試験が実施される月の月末までに20歳の誕生日を迎えていれば、試験日当日19歳でも受験は可能です。
試験の概要
学科試験と実技試験の2段階によって考査されます。学科試験では障害者福祉の基礎知識、聴覚障害者に関する基礎知識、手話通訳のあり方、国語の4科目から出題されます。それぞれの分野で20問ずつ出題されます。四肢択一方式で解答します。
実技試験は音声で問題が出題されますから手話で解答する聞き取り通訳と手話で出題されますから声に出して解答する読み取り通訳の2科目で構成されます。それぞれの科目で2問ずつ出題されます。
学科試験は60%以上の正答率、実技試験では正確さと技能で考査されます。表現力や円滑さ、態度、明瞭性などで審査されます。
聴覚障害者のバリアフリー
手話通訳士に対するニーズは今後ますます高まると予想されています。というのも現在、聴覚障害者がより快適に生活できるような環境作りが進められているためです。
しかも手話通訳士の人数は決して十分ではありませんから、今のうちに資格取得しておくとかなり有力な武器となるはずです。
病院の中には、聴覚障害を抱えている人が通院・入院するケースもあります。そのような時に手話通訳士の資格を持った看護師がいれば、彼らとのコミュニケーションも取りやすくなります。
その他にも福祉施設で活躍する看護師も増えています。福祉施設への転職を検討しているのであれば、手話通訳士の資格はかなり高く評価されます。このため、自分の希望する職場で採用される可能性も高まるでしょう。
手話通訳士の資格に興味がある看護師さんへ
病院の他には公的機関などで手話通訳士の需要が高いですね。公的機関の場合、誰でも利用しますから聴覚障害者の方もやってきます。そのような時に手話通訳士の人がいれば、コミュニケーションも円滑になります。
病院でも手話通訳士のニーズも高まっています。聴覚障害者の方が診察を受けやすいような環境づくりを進めています。特に総合病院のような大規模医療機関で、手話通訳士の資格を持った看護師を積極的に採用する傾向が見られます。
今は大規模病院が募集の中心となっています。しかし外来でも聴覚障害者の訪れる可能性は十分あります。そこで一般のクリニックでも、手話通訳士の資格を持った看護師を採用したいと考える所が多いです。
病院の外来で今後勤務しようと考えているのであれば、手話通訳士の資格を取得しておくと将来のキャリアにわたって役立つと思いますよ。