看護師のスキルアップ資格「救急救命士」
救命救急士法という法律がありますが、その中で明記されている国家資格が救急救命士です。
疾病者を病院に搬送するための救急車の中で、必要な応急処置を施し、最大限患者の命を救うことが主な仕事内容です。
具体的な処置としては、静脈路確保や器具を使っての気道確保、必要に応じた薬剤の投与、自動体外式除細動器を使った除細動などがあります。一刻の猶予を許さない重大な事態の患者もいますから、迅速な判断力と処置が求められます。
資格保有者数は、37000人以上いるとされています。だいたい毎年2000人くらいずつ新たに資格保有者が増えています。
救急救命士の難易度は決して高くありません。ここ最近で最も合格率の低かった年が平成19年ですが、それでも80.1%を記録しています。だいたい80~85%くらいの合格率で推移していて、しっかりと試験対策の勉強をしていれば合格できる可能性は高いです。
救急救命士の資格取得方法・条件
国家資格の救急救命士は、国が認定します。厚生労働省が資格の認定を実施しています。
受験資格
受験資格を取得するには、いくつかのルートがあります。
- 高校卒業後に救命救急士養成所で2年以上にわたる教育を受ける
- 大学や養成所などで1年以上の修業をする
- 消防隊員として勤務しながら養成所に6か月以上講習を受け、5年もしくは2000時間以上の救急業務の経験を有する
しかし、看護師の場合、平成3年8月時点で看護師資格を有しているもしくは看護学校に在籍して、その後資格取得できていれば、その時点で受験資格が発生します。看護師免許を生かして、国家試験を受けることも可能です。
試験の概要
一般問題が127問、必修一般問題が23問、必修状況設定問題が7問、状況設定問題が43問の合計200問をマークシート方式で解答します。
必修一般問題と必修状況設定問題の正答率がそれぞれ80%以上で、全体の正答率がおおむね60%以上であれば合格です。
試験科目は基礎医学と臨床救急医学総論、臓器期間別臨床医学、病態別臨床医学、特殊病態別臨床医学の5科目が試験科目になります。
救命救急士の1日
救急救命士は火事や事故などが発生した場合に現場に急行します。ですから、24時間いつ出動命令が出るか予想つきません。もちろん食事や風呂、仮眠などもとることは可能ですが、出動命令が出れば出動が最優先の生活になります。
24時間勤務の中で、昼と晩にそれぞれ1時間ずつ食事休憩が与えられます。そして仮眠休憩が6~8時間も受けられています。しかし仮眠をしていても、出動要請があれば出動しないといけません。
24時間勤務をした後で、1日非番となって休みが与えられます。その他に月に数日の当直の際には休みも入ります。仕事中はハードな勤務状況になりますので、非番の際には体をしっかりと休めることが大事です。
福利厚生がしっかりしているのも、救急救命士の特徴です。自治体の中には消防官のための寮を用意していて、寮に入れば住居費の節約ができます。
また、命にかかわる仕事場で業務をしないといけないケースもあります。この場合、消防士専用の団体保険に加入できますから、いざというときでも安心です。
救急救命士の仕事に興味がある看護師さんへ
24時間常在戦場の仕事ですから、何よりも必要なのは体力です。睡眠不足の状態も日常茶飯事と思っておいた方が良いです。
そして肉体だけでなく、精神的なタフさも要求されます。中には大怪我をしている人や心肺停止状態で生きている身体とは思えない患者を扱うこともあります。このような状況下でも冷静に必要な処置をするための精神力がなければ務まりません。
ときにはかなり凄惨な現場に駆けつけることもあります。そのような状況でもパニックを起こさないようにするためには、「人の命を救いたい」という純粋なモチベーションがないといけないでしょう。
プレッシャーに耐えきれずに離職してしまう人もいる職種であることを理解しておいてくださいね。