看護基本技術103項目に取り組む新人看護師さんへ
厚生労働省では、新人看護職員の身につけるべき看護基本技術を103項目認定しています。
それは、「環境調整技術」「」食事援助技術」「排泄援助技術」「活動・休息援助技術」「清潔・衣生活援助技術」「呼吸・循環を整える技術」「創傷管理技術」「与薬の技術」「救命急処置技術」「症状・生体機能管理技術」「感染予防の技術」「安全管理の技術」「安楽確保の技術」と大きく13の項目に分けられています。
その103項目も内、7割を越える新人看護師が入職時に一人でできると感じている内容は、わずか4項目と言われています。
・身長や体重の正確な測定 72.0%
・呼吸、脈拍、体温、血圧のバイタルサインの正確な測定 74.7%
・看護学校で学ぶシーツやリネン交換 75.7%
・基本的なベッドメーキング 81.2%
どれも、看護学生時代に校内実習や校内授業と実施チェックがある分野で、何度も繰り返し行っているものばかりです。
入職後、3カ月経過しても7割を越える新人看護師は、103項目中68項目を一人では実施できない、35項目程度の実施状況となっています。
現場では、新人看護職員全体を集めた集合研修による講義、実務研修の他に、現場でのプリセプターや教育担当者、パートナーシップ・ナーシング・システムなどの教育方法を利用して新人看護師の育成と一人立ちへ向けての教育を行っています。
新人看護師が最初に身につけたい看護技術
新人看護師が早期に見に付けたい看護技術は、環境調整や安全管理、安楽確保の技術ではないでしょうか。
●環境調整
いくら良い治療をしても、良い薬を使っても、その環境が汚染され、衛生的に良くない環境にあれば、患者さんの治療に対する効果を低減させてしまいかねません。
ヘンダーソンやナイチンゲールも、健康回復に係る重要事項として環境調整の大切さを提唱しています。汚染された空気に、リネン、不潔な衣類や身体、清潔でない医療行為では、患者の身体回復を妨げます。なにより、患者さんの早期の回復を願うのが医療職ではないでしょうか。
また、自分では環境を整えられない患者さんに変わって環境調整を行えるのは、看護師の役目ではないでしょうか。新人看護師として、まだ未熟で知識や経験が浅くとも、清潔不潔は理解でき、改善するための方法と調整は出来るでしょう。
また、真冬なのに、タオルケット、真夏なのに分厚い羽毛布団など、不適切な寝具や衣類を適切なものに交換できるのも看護師の出来ることです。自分にできることから始めていくのが看護です。
●安全管理
「危険認識」は、小さなころから教育、指導を受けてきた分野です。何をすれば危険か、何をすれば安全かという基本は備わっているはずです。その危険に気付くことが大切です。
病院に入院しているのに、その危険を見落として取り返しがつかないことになたり、新たな疾患や怪我をしてしまっては本末転倒です。その回避方法は、新人看護師なので分からなくて当然です。
しかし、気付き、先輩や指導者に相談し、危険回避の方策を共に考えることはできます。患者さんの回復の為に妨げとなるような「危険を察知する」ことは早急に身につけておきたい事柄です。
●安楽の技術・ニーズを汲み取る技術
患者さんは、入院環境に居るだけで窮屈さ、苦痛を感じています。それと自分の抱える疾患や症状に悩まされています。患者さんを理解するためには、患者さんと積極的に関わる必要があります。
患者さんに思いを寄せ、理解しようとすることで、その人のニーズや要求を理解する事が出来ます。それにより、信頼関係を構築し、ケアや処置、治療を円滑にします。
患者さんが少しでも安楽を感じられるような、環境設定、身体介助、安楽な姿勢保持などの技術を身につけたいものです。
患者を理解した援助の重要性
これまでにまとめたことは、実際に治療や診療に直接的に関連しないように思うかもしれません。看護技術や医療技術は、経験を積めば自然と要領が分かり、実践できるものです。
しかし患者さんを理解しようとする気持ちは、自分から働きかけなければ身につけることができません。よって、新人看護師が早急に身につけたい基本的看護技術は、患者さんの為を思う患者理解の為の援助なのです。