看護師のスキルアップ資格「ケアマネージャー」
高齢化が進む中介護保険制度が作られました。介護保険制度の中では要介護者や要支援者に対して、適切な保険や医療、福祉のサービスを提供します。しかし、この介護保険制度、システムが複雑なところもあって、専門家によるサポートが必要とされます。
ケアマネージャーは介護支援専門員が正式名称の都道府県の認定する資格で、適切な介護保険サービスが受けられるように要介護者や要支援者のサポートをします。
1999年に最初の介護支援専門員実習研修受講試験が実施されました。2013年までに約60万人が合格しています。ケアマネージャーの資格は更新制をとっていますから、現在活躍している人は50~55万人程度と推測されます。
試験の難易度ですが合格率が年度によって変動します。直近の合格率を見ると15~19%のように20%を切っています。これは受験生の数が増加していることと供給過多になりつつあるため、難易度や合格基準を調整していることが関係しています。
試験が終わると実務研修を行いますが、こちらはカリキュラムに基づき行われますから、それほど難易度は高くありません。
看護師がケアマネージャーの資格を取得するには
●都道府県が認定
ケアマネージャーは各都道府県で認定しています。試験が合格した後に研修を行います。この研修が終了すると、各都道府県の介護支援専門員名簿に登録されます。そうなると登録証明書が交付され、晴れてケアマネージャーとして活動できます。
●受験資格
受験資格を得るためには、以下の3つの条件のいずれかをクリアしていることです。
- 医師や看護師、栄養士、社会福祉士などの特定の法定資格を取得している
- 社会福祉主事任用資格とホームヘルパー2級課程修了、介護職員初任者研修課程修了のいずれかを取得していて、5年以上の実務経験
- 資格のない人は所定の福祉施設で10年以上実務経験
●試験方法
試験問題は60題出題され、マークシート方式で考査が行われます。五肢複式・択一方式が併用して採用されています。介護分野と保健医療福祉サービスから出題されます。
ちなみに看護師のような特定の国家資格を持っている場合、専門分野の問題は免除となります。それぞれの分野で8割程度の正解率を獲得すると合格できます。
ケアマネージャーの資格の有用性
高齢化社会はどんどん進行しています。このため、介護や支援を必要とする高齢者の数は増加することが見込まれています。ケアマネージャーの需要は高い状態でしばらく推移するでしょう。
一方近年の傾向として、ケアマネージャーの供給過多の状態が続いています。そこで数を調整するために合格率を低く設定しています。ケアマネージャーの資格を取得して、更新を続けておけば今後医療ではなく福祉の分野への転職を検討している場合、就職するにあたって有力な武器になるでしょう。
全国介護支援専門員連絡協議会という団体が2004年に調査したところ、ケアマネージャーの月収は25万円前後が相場のようです。看護師の場合、病院における基本給に資格手当が上乗せされることになります。このため、月給で30万円前後といったところが相場のようです。
小規模な事業所で新規にケアマネージャーが必要になった場合、高給で採用される可能性は高いです。転職先を探す場合に参考にしましょう。
ケアマネージャーの資格取得を考えている看護師さんへ
ケアマネージャーの資格と看護師資格を両方持っていれば、介護の現場でかなり活躍できるようになります。
病院の他にも居宅介護支援事務所や介護保険施設、有料老人ホーム、グループホームなどではケアマネージャーの設置が義務付けられているため、職場の候補の中では有力です。
その他にも在宅介護支援センターや保健所、保健センター、医療福祉センターといった公的機関でも勤務できます。一般企業で勤務できるケースもあって、福祉用具販売業や生命保険会社で活躍しているケアマネージャーのケースも見られます。
キャリアチェンジで病院以外での勤務を考えている看護師もいるでしょうから、ケアマネージャーの資格を取得するのもいいかもしれませんね。