不安障害や抑うつ状態の疑いがある新人看護師さんへ
新人看護師に多いと言われるリアリティショックですが、それをうまく乗り越えられんかったり、仕事の肉体的、精神的ストレスの鬱積が続いたりすると、鬱状態や不安神経症、心身症などの精神系疾患に見舞われる事があります。
そのような新人看護師は、「自分が悪い」「自分が出来ないから」「自信が無い」「人より自分は劣っている」と、自己評価がかなり低い事があります。
よって、自滅的に鬱傾向となったり、うつ病を発症したりと精神的トラブルを引き起こす事があります。
誰でも感じる新人時代の不安や疑問、自信喪失ですが、当の本人は「自分だけ出来ない」「自分が出来ないからストレスがたまる」と感じてしまいます。
しかし、「あなただけではない」と知ってください。
頑張って笑顔でいる同僚や、同期も、実は同じ悩みと辛さを抱え、踏ん張っているのです。不安や抑うつ状態に悩む新人看護師の、その「壁」に挑む力を養いましょう。
新人看護師の精神機能低下の現状
新人看護師は、希望と期待を寄せて入職すべく病院を訪れます。
真新しい白衣に身を包み、新鮮でエネルギッシュ、活力に満ち溢れた姿勢は、冠者さんに力を与え、現任の看護師に刺激を与えます。
また、新人さんが入ってくるだけで、その病棟の雰囲気やカラーは変わり、看護師一人一人のモチベーションを高めたり、気を引き締める要因となり、現場でも喜ばれる存在です。
多くの現場では、新人看護師の集合研修を早期に開始し、同期との交流や看護師としての基本、技術演習を行います。この時、新人看護師は、看護のむずかしさを感じながら、出来るようになる楽しみと、患者さんと早く関わりたい気持ちを膨らませます。
そして、「いざ」病棟配属先へと向かいます。
指導を受けながら実践を重ね、シュミレーションや演習と実践との現状の違いを感じ、時に指導や注意を受けながら経験を重ねます。
初めのうちは、周囲からの注意や指導を素直に受け、出来るようになりたいと頑張る力に拍車をかけます。
しかし、1ヶ月、2ヶ月と経過し、周囲の「出来るであろう」「もう此処までは出来てほしい」という雰囲気や期待を感じると、出来ない自分や失敗する自分に自信を低下させ、「出来ない自分」「能力が低い」と自分にレッテルをはります。
こうなってしまうと、少しずつ精神機能を低下させ、鬱状態、抑鬱、ケアや実戦前の不安やパニックに陥る事があります。
本当は、出来ている部分も「出来なくなった」「緊張して手も足も出ない」などと不可解な症状を感じる事もあります。
そして、ついには、出勤できない状態や、出勤しても正常に脳や身体が動かない状態になる事があります。
精神を崩さないための予防策
鬱状態や不安状態、パニックに陥る看護師は、ストレス発散や気分転換が下手な事が多いです。時には、頭から仕事を切り離し、私生活を充実させる事も大切です。
●出来ない事に目を向けない
自信を失う時は、自分を過小評価する傾向にあります。そして、出来ない事ばかりにとらわれ、自信喪失に陥る事があります。
出来ないことは、経験を重ねればいずれ出来るようになります。出来るようになったことや、成長した自分に着目し、「今度は○○が出来るようになりたい」と意欲を湧かせる思考転換が必要です。
●仕事を全く考えない時間を作る
人生は、仕事のみで成り立っているわけではありません。私生活や自由時間、プライベートが無ければストレスの多い仕事に合太刀打ちする力は備えられません。
仕事の事を忘れる時間を作りましょう。自分の好きな事をして、好きなものを食べて、ゆったりと過ごす時間を作りましょう。
●白衣を脱いだら、ただの女の子に
看護師は看護師であっても、ずっと白衣の天使でいることは困難です。看護師と言う姿は、白衣を着た時間のみにしましょう。
看護師として頑張れるスイッチは「白衣」を着たらという捉え方で、そのONとOFFの切り替えで、緊張と緩和出来る事で精神症状の悪化やプレシャーによる苦痛を軽減できます。趣味や遊び時間も大切にしましょう。
●同期の出席する研修やリフレッシュ研修を大切に
自分だけ自信を失っている、自分だけ出来ない、自分ばかり注意されると、自分ばかりを責める新人さんに多いのが、不安症状や抑うつ症状の発症です。
でも、隣の新人さんも不安や悩みを抱えながら頑張っています。
そして、今病棟でバリバリ働いてる先輩も、実は、新人時代に自信を喪失し、「辞めたい」と感じていた時期もあります。それは、みんな見せていないだけです。
実は、同期のあの子も誰に話を聞いてほしいと感じているかもしれません。研修時間や交流出来る時間を遣って、悩みや不安、不満を話せる時間を大切にしましょう。
症状が出てしまったら早めに適切な相談と専門機関の受診を
●先輩や上司に相談してみる
先輩や上司に、自分の思いを打ち明けましょう。そんな悩みがあるのだと知って貰う事で、勤務や教育、サポートを考慮して貰える事があるでしょう。
そして、その方たちの過去の経験などを聞き、どのように対処したのか、乗り越えたなどを教えてもらいましょう。
また、自信を失っている時は、自分の評価や自分の改善点の助言を貰うよう動いてみてください。
●カウンセリングルームを利用する
時に、新人看護師や現場看護師の相談の場所やメンタルケアルームを設置している職場があります。臨床心理士や看護部の職員、カウンセラーが常駐し、相談に応じてもらえる事があります。
そのような場所を活用する事も、新人看護師のメンタルトラブルに対応できる事があります。また、自分でカウンセリングルームを探して受診する事もお勧めです。
●同期や同僚に悩みを打ち明けてみる
同期や同僚は、同じ時期に同じような悩みを抱えているものです。悩みを打ち明けると、「私も」「辛いよね」「一緒に頑張ろう」との声を聞くことが出来るよでしょう。
自分だけではなかったと知ることが出来、自信喪失に歯止めをかける事もできるでしょう。
●家族や知人に話してみる
家族や、知人など、医療界以外の人に相談する事は有効です。分からない世界の人と話す事で、違った視点からのアドバイスを受けられます。
医療で働いていた人に相談すると、「甘い」「どうして」などと、注意や指導の観点からの助言を受けることがあります。それが、時に自信喪失に拍車をかける事もある為、全く別の世界の人々に意見を聞く事も為になります。
最後の砦「専門機関受診」は早めに
不安症状や鬱状態に陥った新人看護師は、自分を責め、自分で自分を陥れます。
そうなると、専門機関に受診し、時にカウンセリングや薬物療法でその症状を緩和させたり、症状が無くなるよう治療が必要となります。
受診が遅れてしまうと、回復に時間を要し、治療困難、社会復帰困難となるケースもあるので、専門機関の受診は早期に行う必要があります。